体内で最も多いミネラルで99%は骨や歯に、残りの1%がカルシウムイオンとして体内で種々の調節機能を担い、細胞の情報伝達に重要な役割を果たす。
また、鎮静作用があり、就寝前のコップ1杯の牛乳は安眠を誘う。 カルシウム摂取が不足すると、骨のカルシウムが血中に動員され骨粗鬆症のリスクが高まる。 とくに閉経後の女性は女性ホルモンによる骨量維持機能が低下するので積極的に食品から摂取する必要がある。
● ビタミン Vitamin
ヒトの健康維持に必要な微量成分。ヒトの体内では合成されないか、合成量が不十分なため、食品から摂取すべきもの。 油に溶ける脂溶性ビタミンと、水に溶ける水溶性ビタミンがあり、脂溶性ビタミンは蓄積性があるので摂りすぎに注意する。
【主な脂溶性ビタミン】
ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK
【主な水溶性ビタミン】
ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、葉酸
● 多糖類
糖質の構造単位が単糖類
単糖類が2~10個結合したものが少糖類、10個以上結合したものが多糖類。
自然界では、大部分の糖質は多糖類として存在し、ヒトの消化酵素で分解できるものはエネルギー源になる。
非消化性の多糖類は食物繊維と呼ばれる。食物繊維には、制がん、脂質代謝調節、糖代謝調節、免疫機能調節など、さまざまな機能が報告。
● ミネラル Mineral
人体に必要とされ、毎日の食事から摂る必要のあるミネラルを必須ミネラルといい現在29種類が指定。
【ミネラルの分類】
<主要ミネラル>
カルシウム、リン、カリウム、硫黄、塩素、ナトリウム、マグネシウム
<微量ミネラルⅠ群>
鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレンモリブデン、コバルト、クロム
<微量ミネラルⅡ群>
フッ素、ケイ素、ルビジウム、臭素、鉛、アルミニウム、カドミウム、ホウ素、バナジウム、砒素
ニッケル、錫、リチウム
※ 上記ミネラルのうち、所要量と許容上限摂取量が定められているもの
カルシウム、鉄、リン、マグネシウム、カリウム、銅、ヨウ素、マンガン、セレン、亜鉛、クロム、モリブデン
● 酵素 Enzyme
生体内ではたらくタンパク質の媒体。さまざまな反応を体温付近で特異的に行うことができる。 ビタミンやミネラルが結合して酵素活性が発現する場合、これらの非タンパク質成分を補酵素という。 酵素はそのはたらきにより、加水分解酵素、酸化還元酵素、脱離酵素、転移酵素、異性化酵素、合成酵素の6つに分類されている。 酵素タンパク質は消化管で分解され、活性のある形で吸収される割合は非常に低いので、経口的に摂取した酵素が生体内で働くことはまれである。
● 抗酸化成分 Antioxidant
生体内で生じる活性酸素や脂質過酸化物がさまざまな疾病の原因になる。 抗酸化成分は、酸化物の生成を抑制するとともに生じた酸化物を無害の還元型に戻す働きを持つ。
n-3系列(α-リノレン酸、EPA、DHAなど)の不飽和脂肪酸は、健康の維持に重要な役割を果たすが、二重結合を多く含むので、酸化されやすいのが難点。 不飽和脂肪酸の生理活性を活用するには、抗酸化成分を併せて摂ることが重要。
しかし、抗酸化成分の過剰摂取も問題となる。 抗酸化成分が不飽和脂肪酸を還元するのは、自分自身が酸化されるからである。 抗酸化成分の酸化物は脂質過酸化物や活性酸素より生体毒性は低いが、大量に存在すると毒性物質としてはたらく。 生理活性の高い成分ほど、過剰摂取による生体毒性が出やすいので注意すること。
● 活性酸素 Active oxygen
他の物質を酸化する能力の強い活性化された酸素種の総称。
一重項酸素、スーパーオキシド、過酸化水素、ヒドロキシラジカルなど。
生体成分を酸化してエネルギーを獲得する過程で生成し、白血球が免疫反応を行う過程でも生成する。 また、紫外線や放射線を浴びることでも生成する。 活性酸素が脂質、たんぱく質、核酸などを酸化すると、種々の疾病の原因となり、老化を促進することになる。 生体内の酸化反応や脂質の過酸化によって生じた活性酸素を消去するため、酵素による活性酸素消去系が存在する。 また、抗酸化成分の摂取により、活性酸素の速やかな除去を可能にすることが必要。
● 喫煙 Smoking
煙草の煙の中には発がん物質があり、肺がんなどの発症を促進する。発がん物質の多くは紙巻煙草の紙が燃焼して生じる。 したかって、肺に吸い込む煙より、副流煙に発がん物質が多い。 喫煙者の配偶者が肺がんで死亡する例が多数あり、喫煙スペースの分離が行われている。 妊婦の喫煙は、胎児に疾病をもたらす確率を上げ、死産や流産の原因にもなる。 喫煙により、活性酸素と呼ばれる反応性の高い酸素が体内に入り、がんや種々の疾病を引き起こすので、速やかに活性酸素を消去する必要がある。 活性酸素の消去には、酵素や抗酸化ビタミン類がはたらく。 喫煙者では、抗酸化ビタミンの一つであるビタミンCの血中濃度が低下しやすいが、ビタミンCには長寿ビタミンと呼ばれるビタミンEを再生するはたらきがあるので、喫煙者はビタミンCの補給を心がける。
関連事項:ビタミン
● メタボリックシンドローム Metabolicsyndrome
内臓脂肪症候群のこと。
内臓脂肪が蓄積した肥満に加え、血圧、血糖、血中脂質のうち2つ以上に異常がある状態。
血圧は収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧80mmHg以上
血糖値は110mg/dL以上
中性脂肪は150mg/dL以上
HDLコレステロールレベル40mg/dL未満をリスクファクターとしている。
● アレルギー Allergy
免疫反応がわれわれの体に不都合な反応をひきおこす場合、アレルギーという。
アレルギー反応は抗原物質(アレルゲン)に対して起こる。抗原物質は多くの場合たんぱく質。 たんぱく質の特定の部分を認識して免疫反応が起こるが、その部分をエピトープと呼ぶ。 アレルギーは、アレルゲンとの接触により起こるので、アレルゲンの侵入を防ぐことが重要。花粉症ではマスクをし、食物アレルギーでは原因食品を食べないようにする。 アレルギーを起こさないためには、大量のアレルゲンタンパク質に接しないようにし、特定の高タンパク食品に依存しないこと。 乳幼児の場合、 離乳を早めることはアレルギー発症のリスクを大きくする。離乳は生後6ヶ月頃から開始する方が安全。
関連事項:特定アレルギー食品