● 喫煙 Smoking

煙草の煙の中には発がん物質があり、肺がんなどの発症を促進する。発がん物質の多くは紙巻煙草の紙が燃焼して生じる。 したかって、肺に吸い込む煙より、副流煙に発がん物質が多い。 喫煙者の配偶者が肺がんで死亡する例が多数あり、喫煙スペースの分離が行われている。 妊婦の喫煙は、胎児に疾病をもたらす確率を上げ、死産や流産の原因にもなる。 喫煙により、活性酸素と呼ばれる反応性の高い酸素が体内に入り、がんや種々の疾病を引き起こすので、速やかに活性酸素を消去する必要がある。 活性酸素の消去には、酵素や抗酸化ビタミン類がはたらく。 喫煙者では、抗酸化ビタミンの一つであるビタミンCの血中濃度が低下しやすいが、ビタミンCには長寿ビタミンと呼ばれるビタミンEを再生するはたらきがあるので、喫煙者はビタミンCの補給を心がける。
関連事項:ビタミン

● メタボリックシンドローム Metabolicsyndrome

内臓脂肪症候群のこと。
内臓脂肪が蓄積した肥満に加え、血圧、血糖、血中脂質のうち2つ以上に異常がある状態。
血圧は収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧80mmHg以上
血糖値は110mg/dL以上
中性脂肪は150mg/dL以上
HDLコレステロールレベル40mg/dL未満をリスクファクターとしている。

● アレルギー Allergy

免疫反応がわれわれの体に不都合な反応をひきおこす場合、アレルギーという。
アレルギー反応は抗原物質(アレルゲン)に対して起こる。抗原物質は多くの場合たんぱく質。 たんぱく質の特定の部分を認識して免疫反応が起こるが、その部分をエピトープと呼ぶ。 アレルギーは、アレルゲンとの接触により起こるので、アレルゲンの侵入を防ぐことが重要。花粉症ではマスクをし、食物アレルギーでは原因食品を食べないようにする。 アレルギーを起こさないためには、大量のアレルゲンタンパク質に接しないようにし、特定の高タンパク食品に依存しないこと。 乳幼児の場合、 離乳を早めることはアレルギー発症のリスクを大きくする。離乳は生後6ヶ月頃から開始する方が安全。
関連事項:特定アレルギー食品

● 免疫 Immunity

自己成分と非自己成分を識別し、非自己成分を排除するはたらき。
病原体を排除し、生体防御に大きく貢献する。しかし、生体にとって不都合な反応も行い、その場合はアレルギーと呼ばれる。
たんぱく質栄養の充実が正常な免疫反応の誘導に必要である。また、食物繊維などのさまざまな食品成分が免疫応答を調節している。

● 便秘 Constipation

数日以上排便が無く、便が固く、排便に困難を来たすのが便秘。
便秘には、弛緩性(しかんせい)のものと痙攣性(けいれんせい)のものとある。
大腸では、小腸で吸収しきれなかった食品成分を腸内細菌が代謝し、悪臭物質や発がん物質を作る。 便秘がちの人は、体調不良になりやすく、種々のがんの発生率も高くなる。 便秘の予防は長寿につながるが、便秘を促進するのが食物繊維。 便の滞留時間を短縮して発がん物質の生成発生を抑え、発がん物質や脂肪を吸着して体内への吸収を抑制し、がんだけでなく、高脂血症を予防する。 水分を十分に摂ることも必要。いも類のように、ガスを発生する食品は大腸を刺激し、排便を促進する。
香辛料、適量のアルコール、炭酸飲料、冷たいジュースなどの刺激は弛緩性の便秘では排便が促進されるが、痙攣性の下痢では逆効果である。
食物繊維の多いスローフードに切り替えると、大腸内でビフィズス菌、乳酸菌などの善玉菌が増加する。 それによって、発がん物質などを生産する悪玉菌の増殖が抑えられる。腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を善玉菌中心にすることが長生きの秘訣である。

【弛緩性】
     大腸の筋肉がゆるんで、便を出すはたらきが弱っている場合。
     体質、神経障害、低栄養、全身衰弱、ビタミン欠乏、腸の感受性低下、食事量の不足による刺激不足など
     が原因で、やせた女性に多い。
【痙攣性】
     大腸が過敏になり、一部が強く収縮し、便の通過を妨げるもので、ストレス、不安、悩みが原因になる。
関連事項:多糖類

● 糖尿病 Diabetes mellitus

血液中のグルコースの濃度が高くなる病気で、尿中にグルコースが検出される。
糖尿病は、網膜症、動脈硬化、腎症、心臓病、神経障害、脳卒中などの合併症を引き起こす危険な生活習慣病である。 主な原因は生活の不摂生で、食べ過ぎと運動不足による肥満が原因。 予防には、食事を1日3回規則正しく食べること、動物性脂肪を減らして魚油を増やすこと、薄味にして食塩使用量を増やすこと、アルコールを減らすことが必要。

● 動脈硬化 Arteriosclerosis

動脈壁が肥厚して変性し、柔軟性を失い、機能が低下している状態。
動物性脂肪の摂りすぎ、高たんぱく食、塩分の摂りすぎ、喫煙、大量の飲酒などが関係するとされている。 動脈硬化の進展は、血液の流れを悪くし、血栓ができやすくなるので、脳梗塞や心筋梗塞につながる。 抗酸化成分の摂取を心がけ、酸化の起こりにくい体にすることが望まれる。 食品では、多価不飽和脂肪酸や食物繊維が血清コレステロールレベルを低下させる。 多価不飽和脂肪酸は酸化を受けやすいので、抗酸化成分と組み合わせて摂ることが必要。

● 高脂血症 Hyperlipidemia

血液中のコレステロールや中性脂肪のレベルが高い状態を高脂血症という。
高脂血症の人では動脈硬化が進行しやすく、心筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患の発症につながるので、早期の対策が必要。

● 高血圧 Hypertention

動脈血圧が持続的に上昇する病気。
血圧の上昇を防ぐためには、食生活の健全化と適度な運動が効果的。 塩分の摂りすぎは血圧を上昇させる。食塩の含まれるナトリウムが血圧を上昇させカリウムが血圧の上昇を抑制する。カリウムに富む野菜、果実、海藻類を充分摂取する。
高脂肪食は動脈硬化を促進して血圧を上昇させる。動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞につながる。
たんぱく質の摂取は血管壁の強化を通じて血圧上昇を抑制する。好き嫌いせず、バランスよくたんぱく質を摂取すること。
血圧低下には運動が有効。適度な運動を継続すると、血圧が低下し心拍数が減少する。
心拍数の減少は心臓の負担を軽減し、心臓疾患の発症率を低下させる。
また、動脈硬化の発症を抑制するHDLコレステロールのレベルが上昇する。
運動により筋肉がつくと、基礎代謝が上昇して安静時のカロリー消費が増えるので、肥満になりにくくなる。

● がん予防に役立つ12条

1 偏食せず、栄養のバランスのとれた食事をする
2 同じ食品を繰り返して食べない
3 食べ過ぎを避ける
4 深酒をしない
5 タバコを少なめに
6 適量のビタミンA,C,Eを摂り、食物繊維を多く摂る
7 塩辛いものを少なめに、あまり熱いものは食べない
8 魚の焼けこげなど、ひどく焦げたものを食べない
9 カビのはえた食品を避ける
10 過度の日光にあたらない
11 過労を避ける
12 体を清潔にする